主な研究業績

 

民間航空機YS−11型の基本計画

 第2次大戦後、日本で計画設計製造されたターボ・プロップ輸送機、60人乗り、中距離民間機で1965年就航した。182機製造され、技術的には成功したと云われたYS−11につき、1957年頃その基本要目を数理的に決定した。これは木村秀政教授により海外にも紹介されて反響があった。


YX:中型ジェット旅客機の開発

 コンピュータ・シミュレーションを応用して1967年、YS−11の後継機の基本計画を行なった。航空工学を基礎とした数理解析と工学的技術を基本としたデータ解析に基づくコンピュータ・プログラムを開発した。今日CAD(Computer Aided Design)と呼ばれているものを日本で最初に独立に開発した。現在では工業一般に利用されている。また、ALSS(Air Line Systems Simulation)を開発して、仮想航空機の運航の状況を再現し、最適機種の選定法を考察した。


衝撃波を伴う流れの研究

 飛行機の速度が音速に近づくと翼面上に衝撃波が出現する。その前方は超音速、後方は亜音速となる。粘性を無視したポテンシャル流れの微分方程式は楕円形、双曲形となり、流れの場では混合形となる。この様な流れは解析的には解けない。1980年代になってスーパー・コンピュータによって数値的に解けるようになった。しかしその計算には衝撃波の位置や形状について試行錯誤的な方法を用いる必要がある。私はこの問題を長年にわたって解析的に解くことを研究した。さらに汎関数論を応用して流れの場全体を変分法によって表現する方法を考案し、さらに粘性を考慮した流れについても変分表式を導いた。これは将来数値解析にも応用され、試行錯誤的方法に代わって合理的に衝撃波の位置や形状を求めることができる。


高速空気力学の研究

 超音速流れの空力加熱や強い衝撃波の後方の澱み点付近の放射加熱の解析を行った。また亜音速、遷音速、超音速、極超音速流れの数理解析を統一的に纏めて高速空気力学(1977年コロナ社)を著した。


大気中の汚染物質の拡散

 固定発生源が多数存在する場合の汚染分布の計算や光化学スモッグのような化学変化を伴なう大気汚染の数理解析を行った。


自動車排気ガスによる大気汚染の研究

 日本機械学会の特別研究として行ったもので、コンピュータによる数値シミュレーションAPPS(Air Pollution Prediction System)を開発した。これは1970年、大阪市内5ヵ所で実測値と比較したところ良好な一致を示した。


PDPCの開発

 PDPC(Process Decision Program Chart)は一般数理計画法というべきもので、研究開発など企画に広く応用されている。これは1965年に私が開発した方法で、日本の品質管理研究グループが制定した“新QC七つ道具”の中にも採り入れられており、企業でも広く用いられている。


システム工学の数理科学的研究

 システム工学は第二次世界大戦後、米国のBell.Lab.,G.E.など主として電気電子産業で開発されたが、私はN.Wienerのサイバネティックに強く影響を受けて、オペレーションズ・リサーチ、自動制御理論、品質管理、経営工学などを総合する数理科学の分野として研究した。このような広範に産業界で応用されている手法は教授によって紹介されたものが多い。またその指導の下で日本の科学者や技術者の手によって独自の発展を達成したものである。


K−プロジェクト
(藻類等の利用による二酸化炭素固定・有効利用技術開発プロジェクト)

 化石燃料の燃焼によって、大気中のCO2は、産業革命以前の280ppmから現在の360ppm以上に増大した。今後、開発途上国での経済発展に伴い、CO2濃度はさらに急速に増大し、地球環境への深刻な影響が懸念される。そこで本プロジェクトは、
「21世紀に向けて、人類が総力を挙げて取り組むべき極めて重要かつ緊急の課題である地球環境問題の解決を図るため、細菌・微細藻類等の微生物を利用して、二酸化炭素を自然界における光合成以上の効率で固定するとともに、再資源化する技術を確立する。」
 ことを目的としている。
 本プロジェクトで想定されているCO2ガスは燃焼排ガスであるため、10%以上の高濃度CO2でも生育が可能であるEuglena glacilisが対象藻類として選択された。このプロジェクトに関して、Euglena glacilisに対する研究が各地で行われているが、本研究では、Euglena glacilisの培養にあたって最適システムの構築を目的としている。

   


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